細胞の自食作用「オートファジー」の解明で今年のノーベル医学・生理学賞に輝いた大隅良典東京工業大栄誉教授(71)。畑違いの研究者だった弟子の吉森保大阪大特別教授(58)、水島昇東京大教授(50)とともに自由な雰囲気で研究を進めたことが、今日の大きな発展につながった。10日の授賞式を前に、師弟で草創期の思い出や今後の展望、科学への情熱を語り合った。
出会い
--研究の始まりは
大隅 酵母という小さな細胞を対象に40年間、オートファジーの研究を続けてきましたが、東京大にいたとき酵母の液胞に興味を持ったのが私の研究の原点です。(助教授に就任後の)8年間でオートファジーを顕微鏡で見ることができ、それに関する遺伝子も分かり、私自身の研究の道筋がほぼ立ちました。
--1996年に基礎生物学研究所に移り、研究が加速しましたね
大隅 もう51歳でしたが教授になり、吉森さんが助教授で参加しました。
吉森 留学先のドイツから帰国して職探しをしていたら、大隅先生に声をかけていただきました。
大隅 私は一貫して酵母で謎解きをしてきましたが、動物細胞をやってきた人がいた方が(研究が)大きく広がると思った。