ノーベル医学・生理学賞に決まった東京工業大の大隅良典栄誉教授(71)が、受賞決定から一夜明けた4日、東京都目黒区の同大で取材に応じ、「昨日からずっと続いていて、まだ実感が湧かない」と笑みを浮かべた。
受賞が決まった3日は夜遅くまでテレビや新聞各社の取材が続き、神奈川県大磯町の自宅には帰れなかったという。4日も早朝から前夜と同じグレーの背広とネクタイ姿で取材を受けた。「3時間ちょっとしか寝られなかった」と疲れをにじませ、「きっと家に帰ったら受賞の実感も湧くと思う。大好きなお酒も飲みたい」と話した。
朝になって妻の萬里子さん(69)に電話し、それぞれ取材に追われた状況を伝え合った。携帯には多くの祝福のメッセージが寄せられていたという。
3日の会見では「ノーベル賞は格別」と話していた大隅さん。「過去にいくつも賞をいただいたが、こんなに報道の人が来たことはなかった」と世の中の反響に驚いたといい、「これだけの方が集まってくれるのは、やっぱり特別な賞」と改めて意義を強調した。また、近年は応用研究にノーベル賞が与えられることが多いとしながらも、「基礎科学からスタートした仕事を認めてもらえたということは、ある種のノーベル賞の原点だと理解したい。うれしいこと」と喜びを表現した。
また、後進の育成についても触れ「社会が研究者を育てる。国だけではできない。日本社会の未来に向けて、若手研究員を大事にしないといけない」と述べた。
4日は午前11時から、研究室がある横浜市の東工大すずかけ台キャンパスで、妻の萬里子さんとそろって記者会見を行う予定。