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1984年ロス五輪のボイコット:ロシアチーム五輪不参加の最初のケース

Getty Images
 国際オリンピック委員会(IOC)は、2018年冬季オリンピックへのロシア選手団派遣を禁じたが、そのために、ロシアが五輪そのものをボイコットすることはない。クレムリンによれば、ロシア選手は、中立の立場で五輪に参加できる。しかし、30余年前、1984年のロサンゼルス夏季オリンピックへのソ連政府の対応は、はるかに厳しいもので、ソ連と東欧諸国の大部分の選手は不参加だった。

青天の霹靂

 「それはまさに青天の霹靂だった。暗雲は立ち込めていたが、とにかくそれは、あまりにも急で突然のことだった。最初の感じは、あたかも地面にぽっかり穴が開き、そこにすべてが吸い込まれていくようだった。まるで周りが真空状態になったみたいに。長年取り組んできた目標が消えてしまった...次に何が起こるのかもはっきりしなかった」

 こう語ったのは、ウラジーミル・サルニコフ(1960~)。「泳ぐ精密機械」、「波の怪物」などと呼ばれた競泳の名選手で、五輪で計4個の金メダルを獲得している。ソ連のロス五輪ボイコットの報に接したときの気持ちを語ったものだ。

 

「カーター大統領のレベルまで自分を貶めることはしない」

 ソ連当局は、アメリカが1980年のモスクワ五輪をボイコットしたことへの抵抗措置として、米国開催の五輪をボイコットする計画が前からあった、という意見があるが、サルニコフの証言は、それと明らかに矛盾する。

 モスクワ五輪の前、ジミー・カーター米大統領は、 1カ月以内にアフガニスタンから軍隊を撤退させるよう、ソ連に最後通牒を突きつけていた。当時、米政府は、アフガニスタンに“外国の軍隊”が入ることに反対だったわけだが、クレムリンは大方の予想通り、その要求を無視。米国とそれに同調した60カ国以上のチームは、1980年の夏、自国にとどまった。

ヘイダル・アリエフソ連政府(閣僚会議)第一副首相(右側)とフアン・アントニオ・サマランチIOC会長(左側)

 ロス五輪をめぐる状況に話を戻すと、ソ連の指導部は当初、選手がロス五輪に参加することについて肯定的な態度を示していた。1982年12月、ソ連政府(閣僚会議)第一副首相、ヘイダル・アリエフ(連邦崩壊後は、アゼルバイジャン共和国大統領)は、フアン・アントニオ・サマランチIOC会長にこう語った。「我々はロス五輪に備えている。ソ連がボイコットする可能性が取りざたされているのは、耳にしているが、我々は、カーター大統領のレベルまで自分たちを貶めることはしない」

 だから当初、ソ連は五輪に前向きだった。現在のロシア指導部もまた、疑いなく、五輪にノーマルな形で参加すべく努力したが、ドーピング・スキャンダルがその計画を妨げた。


ヒステリーと非難の応酬

 再び、ロス五輪の前に話を戻す。なぜ、ソ連政府は、五輪への態度を変えたのだろうか?おそらく、1983年後半から、政治的緊張が著しく高まったせいだろう。9月1日、ソ連空軍機による大韓航空機撃墜事件が起き、西側諸国でごうごうたる非難が湧き起こった。それに続いて、ソ連寄りのグレナダ(カリブ海の島国)への米国の介入、米国の中距離ミサイルのヨーロッパへの配備が続いた。2つの超大国の関係は、こうしてどん底に落ち込んだ。

船舶「グルジア号」

 政治的ヒステリーと相互告発の雰囲気のなかで、クレムリンは米国に対し、ソ連選手の安全に関する、書面での保証を要求したが、米側はそんなものを与えるつもりはなかった。また、ソ連選手が自国からロサンゼルスへチャーター便で直行することも許可せず、さらに、船舶「グルジア号」――トレーニング施設を備えていた――が米国に寄港することも許さなかった。

 ついに1984年5月、ソ連指導者、コンスタンティン・チェルネンコ書記長と政治局は、ロス五輪ボイコットを決定。これに14の社会主義国が続いた。

「ありがとう、同志チェルネンコ」

 ソ連選手不在で最大の恩恵を受けた国は、もちろん米国だった。同国は、金83、銀61、銅30のメダルを獲得。221のメダルのうち、実に174を得た。この金メダル獲得数は、依然破られておらず、五輪史上最多である。

 閉会式で、米国の解説者は、ソ連の指導者が「五輪史上最多の金メダルを米国に与えてくれた」として、「同志チェルネンコ」に感謝したが、確かにその通りだったろう。

 これに対し、1980年モスクワ五輪でのソ連の金メダル獲得数は、これよりわずか3個少ないだけで、しかも銀と銅はもっと多く、計195個のメダルを得ていた。その余勢をかって、1984年五輪の展望も明るかった。

ソ連の体操競技選手、1988年ソウル五輪

 「1980年の大会以来、予算は潤沢で、最先端のスポーツ施設を備えていた。1983年のスポーツシーズンの結果から、ロス五輪では、金62(東ドイルが40、米国が36~38)を獲得できると予想された。... ソ連はロス五輪で勝てると確信していた。1988年のソウル五輪は、その予想の正しさを裏付けた。我々の勢いは止まらず、他の国を粉砕することになった(ソ連の金は55、米国は35にとどまった)」。後に、ソ連国家スポーツ委員会のアナトリー・コレソフ副委員長はこう語った。

 当時のIOCも、ボイコットという事態を防ぐために尽力し、サマランチ会長が仲介者として、超大国間の交渉を試みた。しかし、いずれの側も妥協の用意はなかった。

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