AIと美容業界の未来｜美容師/美容室の求人・転職専門サイト【ビューティーキャリア】

このところ新聞や雑誌等で話題になることが多い“人口知能(AI)”。今世紀初頭には、AIといえば、まだSFに登場する“空想上の産物”程度の認識しかなく、現実世界で導入されるには、あと50年から100年はかかるだろうと思われていました。
それが、ITの急速な進化によって、今やAIは着実に私たちの生活の一部として浸透しつつあります。その一方で、様々な研究団体から「AIの進化によって、多くの仕事がAIに置き換えられるだろう」という予測報告が発表され、「AIが人間の仕事を奪うのではないか」とか「AIの職場進出で無くなる職種」といった内容の記事がマスコミで盛んに報じられるようになったことも記憶に新しいところ。

今回は、近い将来、様々な職業の現場で導入されることが予測されているAIが、美容業界に与える影響について考えてみたいと思います。

 

かつて、“長時間勤務・低収入・薄遇”で知られていた美容業界ですが、現在では多くの美容室で改善され、美容師が働きやすい環境作りが推進されています。そんな美容業界にAIが導入されると、どんな変化が起きるのでしょうか。それを予測するため、美容室で人がやっている仕事をチェックして、AIができること、できないことについて考えてみましょう。

専門家の見立てで、AIの導入で無くなる主な職種は、サービス業や製造業、建設業等と言われています。その一方で、もともと大量生産等の単純作業は、AI登場以前から機械オートメーション化が進んでいて、AIが導入されても、そこに携わる人的労働力は僅か。人間が介入しなくてはならない最小限の業務については、そう簡単には無くなることはないという見方もあります。

美容師の仕事は、お客様に“美”を提供する技術職であると同時に、接客のスキルも要求され、カット等の実務についても、人と人との交流から生まれる感情的な繋がりや信頼関係が不可欠だけに、そう簡単にAIが取って替わることはできないでしょう。

ただ、電話やネット等を使った予約業務については、AIが最も得意とする分野。美容室でAIが人に代わってできる仕事としては、受付レセプションが考えられます。現時点で同様のサービスを行うアプリもありますが、お客様と会話して予約できるわけではなく、あくまでもネットを通じて、お客様が希望の日時や担当者をキーボードで入力することが必要です。しかし、将来的には、AIの進化によって、お客様がAIと直接会話しながら、予約を取ることも可能性として否定できないでしょう。
さらに、将来、細やかな作業能力を含む人間と同等の動作機能を持つAIロボットが開発されれば、美容業界にもAIロボ美容師が投入されることがあり得るかもしれません。カリスマ美容師の技術や顧客データをプログラムされたAIが、顧客の好みや最近興味を持っていることといった最新データに基づき、お客様の好みに合致した“絶対に外さない”ヘアデザインやサービスを提供するわけです。AIは学習機能を備えているので、お客様の好みを反映しつつ、人間の美容師をも凌駕する斬新なヘアデザインを提供することも可能でしょう。

ただし、AI導入によって、大量の顧客情報が流出する危険性が高まり、情報流失は今以上に深刻な問題に発展する恐れがあります。お客様が興味を持っている最新情報を得るために、クレジットカードで何を買ったか等々の事細かな情報がネットワークを通じてAIに集積されるわけですから、AIはまさに個人情報の銀行のようなもの。AIの台頭によって、現在以上に高度なセキュリティ対策が迫られることは必至です。

今回は、SFチックな内容でお送りしましたが、ご紹介したAIにまつわる話は現実に起きていること。AIの台頭によって、将来的に人間の手から離れる職業は出てくるでしょう。
とはいえ、美容師の仕事で大切なものが“技術の提供”だけではなく、“お客様との繋がり”である限り、AIが美容師の仕事を奪うことはないでしょう。